「数」は中国語で 数 と言い、同じ字を第三声で と読むと「数える」という動詞になります。数字のほうは 数字 、文字どおりには「数の字」です。中国語の数え方はとても規則的です。十一 は「十・一」で十一、二十 は「二・十」で二十、九十九 は「九・十・九」で九十九。十の語があればそこまで行けます。日本語とまったく同じ組み立てですから、私たちにはなじみのもので、落とし穴はありません。
難しくなるのはその上です、と言いたいところですが、日本語を話す人には当てはまりません。ヨーロッパの言語はゼロを三つずつまとめます(千、百万、十億)が、中国語は四つずつまとめます。千 の次は 万 (一万)、その次は 亿 (一億)で、日本語の万、億と同じ区切りです。百万は 一百万 、「百・万」で、例文11の二千万人もそのまま「二千・万」。うまい手はなく、ゼロを書き並べるしかない、と私はフランス語の生徒には言っています。長年やっていても、私は大きな数の前ではいまだに遅くなります(私だけではありません)。
「二」には語が二つあります。二 は数えるとき、十の位や序数を作るときに使います。二十 、第二 。两 は量詞の前で使います。两本书 、本二冊(例文2)、そして 两点 、二時。これは 時刻・曜日・日付 のページにあるとおりです。とはいえ、百、千、万 の前では使い方が揺れていて、二百 も 两百 も耳にします。俩 のほうは、量詞をすでに含んでいます。两个 にあたるからです。我们俩 、「私たち二人」で、何も足しません。
一 には注意してください。あとに続くものによって声調が変わります。単独のとき、語の終わり、序数のなかでは第一声のままです。第一 、十一 。第四声の前では第二声になります。一遍 (例文10)。そのほかの声調の前では第四声になります。一杯 (例文4)。このページのピンインは発音どおりに書いてあります。もう一つ意外なこと。電話番号では 一 を と読みます。七 と聞き間違えないためです。
数と名詞のあいだに、中国語は一語をはさみます。量詞、または助数詞と呼ばれるもので、中国語では 量词 、「量の語」です。日本語にも「一人」「一冊」「一枚」「一本」と助数詞がありますから、しくみはもうご存じです。違うのは語だけです。一个人 、一本书 。这 と 那 のあとでも同じで(例文5)、ここは日本語の「この本」と違って量詞が要ります。量詞はその物について何かを語ります。张 は平らな面のあるもの、条 は長くてしなやかなもの、把 は手でつかむもの、座 はどっしりして動かないものにつきます。
ただ、この理屈にも限りがあります。一条狗 、一只猫 (例文8)、一匹马 、一头牛 と言います。なぜ犬は通りや魚と同じ仲間なのでしょうか。私には分かりません。これも慣用です。ですから、量詞の一覧を丸暗記しようとしないでください。量詞は名詞と一緒に覚えるものです。一张桌子 であって、张 だけではありません。思い出せないときは 个 がほとんどどこでも間に合います。上品ではありませんが、通じます。セクションEとFにはレベル3の語が多く、これは後回しでかまいません。
動作も数えます。ここでも中国語は細かく言い分けます。次 はふつうの「回」です。遍 は初めから終わりまで通したことを前提にします。文章を読み返す、文を繰り返す、などです。趟 は行って帰る回数を数えます。顿 は食事に使いますが(例文15)、叱ることや殴ることにも使います(理由はたずねないことにしましょう)。そして 一下 は、動詞のあとに置くと、何も数えません。頼みごとをやわらげるのです。等一下 、「ちょっと待ってください」。
中国の小学生は掛け算の九九、九九乘法表 を歌のように唱えます。三七二十一 、「さんしち二十一」。日本の九九と同じです。ここから言い回しが一つ残りました。不管三七二十一 、「三七が二十一であろうとかまわず」 ⟶ 後先を考えずに突き進む。小切手や領収書では、数字を 大写 で、わざと込み入った字で書きます。壹、贰、叁 が 一、二、三 の代わりです(日本の壱、弐、参と同じ発想です)。一画足すだけで 一 が 十 に変わってしまうからです。縁起のよい数字と悪い数字は 儀式と縁起物 のページに、「およそ」の 左右 は 空間と方向 のページにあります。
成語のなかでは、数は二つ一組で出てきて、文字どおりには受け取りません。七 と 八 がそろうと乱雑さ(七嘴八舌 、例文21)、三 と 两 は少なさ、千 と 万 は多さを表します。朝三暮四 は『荘子』の寓話から来ています。猿を飼う人が、どんぐりを朝に三つ、暮れに四つやると約束すると、猿は怒ります。朝に四つ、暮れに三つと言い直すと、大喜びします。日本語の「朝三暮四」はこの話のままの意味ですが、中国語ではその後、「ころころ考えを変える」という意味にずれていきました。このページの最後の例文は 孔子の論語:第5章 から取りました。気をつけてください。話しているのは孔子ではなく弟子の子貢で、自分を顔回と比べています。顔回は一を聞いて十を知り、自分は二を知るだけだ、と。二でも、もう十分です。
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使い方:どの語にもレベルがついています。① は基本、② はよく使うもの、③ は細かいもの。まず ① から始めてください。それだけでも、数を数えたり、番号を伝えたり、ふさわしい量詞を選んだりするには足ります。▶ のボタンで発音が聞け、漢字をクリックすると筆順が開きます。
数字
ゼロ、零(れい)
一(いち)
二(に)
三(さん)
四(し、よん)
五(ご)
六(ろく)
七(しち、なな)
八(はち)
九(きゅう)
十(じゅう)
二、ふた(量詞の前で)
大きな数と量
百
千
万(一万)
億(一億)
いくつ(十未満をたずねる);いくつか
いくつ、どのくらい
いくつか、少し
第一、一番目(第+数:序数)
数字
数、額
たくさんの、多くの
いくつも、かなりの数の
二人、二つ(= 两个)
数量
無数の(「数がない」)
奇数
偶数
大字(壹、贰、叁);大文字
数える・計算する
数える
勘定する;〜と見なす
計算する、計算
足す;加える
引く;減らす
掛ける
割る
〜に等しい、イコール
全部で、合わせて
総計で、ひっくるめて
足し算
九九、掛け算の表(「九九の乗法表」)
そろばん
電卓
暗算(「心の計算」)
合計;合計する
数えきれない
いちばんよく使う量詞
個、人(最も一般的な量詞:人、物)
名様、方(人を数える丁寧な量詞)
人(家族の人数を数える量詞、「口」)
名(職業や順位で人を数える量詞)
種、種類
品、とおり(料理、いろいろな物)
着、件(衣服、用事、贈り物の量詞)
冊(本やノートの量詞)
枚、台(平らな面のある物の量詞:紙、机、ベッド、切符)
本、匹(細長くしなやかな物の量詞:通り、魚、ズボン)
個、切れ、かたまり(石けん、ケーキ、石)
匹、羽(動物の量詞);対の片方
形と性質で選ぶ量詞
本、脚(柄や取っ手のある物の量詞:包丁、傘、椅子)
本(棒状の物の量詞:ペン、たばこ)、曲(歌)
本、筋(細くて長い物の量詞:髪の毛、縄、マッチ)
枚、切れ(薄切り)、錠(錠剤);一面の広がり
粒、個(小さく丸い物の量詞:真珠、歯、星)
粒(米、砂)
滴
人前、分;部(書類、新聞)
頭(牛、豚)、玉(にんにく)
頭、匹(馬の量詞);反(布地)
台、両(車輪のある乗り物の量詞)
台(機械や機器の量詞)
機、台(飛行機とピアノの量詞)
座、棟(どっしりした物の量詞:山、橋、ビル、都市)
軒、社(家庭、店、会社の量詞)
通(手紙の量詞)
編、本(記事や文章の量詞)
首、曲(詩と歌の量詞)
本、作、台(映画、小説、電話の量詞)
言、句(文や言葉の量詞)
対、集まり、入れ物
足、膳、双(同じ物二つで一組:靴、箸、手)
対、組(向かい合う二つ)
組(眼鏡、手袋、トランプ)
そろい、セット(スーツ、家具、マンション)
群れ、一団
ロット(商品)、一陣(人)
山(積み上げた物)
列
串、房、束(串焼き、ぶどう、鍵)
束
杯
瓶、本(瓶に入った物)
椀(お碗に盛った物)
箱(小さな箱)
包み、パック
袋
箱、ケース(大きな箱)
動量詞:回数を数える
回、度
ちょっと(動詞のあとで)
回、遍(初めから終わりまで)
回、往復(行って帰る一回)
食、度(食事、叱責、殴打の量詞)
回、試合(試合、公演、上映の量詞)
ひとしきり、一陣(風、雨、笑い)
ひととおり、一席(骨折りや話の量詞);回
成語のなかの数
二言三言で、手短に(「三つの言、二つの語」)
多種多様、さまざま(「五つの花、八つの門」)
次から次へ、立て続けに(「二に続いて三がつながる」)
一部始終、何もかも残らず(「一、五、一、十」:五つずつ数える)
皆が口々に言う、がやがやと(「七つの口、八つの舌」)
ころころ考えを変える(「朝に三つ、暮れに四つ」)
絶対確実、万に一つの失敗もない(「一万のうち一つも外さない」)
あらゆる手を尽くして(「千の方法、百の計略」)
一石二鳥、一挙両得(「一つの動きで二つの得」)
一、二を争う、指折りの(「一か二に数えられる」)
唯一無二、またとない(「ただ一つ、二つとない」)
ふだんの言葉のなかの数
一緒に
同じ、同じように(「一つの様」)
きっと、必ず
非常に、十分に(「十の分」)
万一、もしも(「万に一つ」)
くれぐれも、絶対に(「千の万」)
すべて、一切
中国語の四声
おそらく、十中八九(「八割」)
各自の胸算用、下心(「小さな九九」)
例文
私の家は四人家族です。
本を二冊買いました。
あなたたちのクラスには学生が何人いますか。
水を一杯ください。
この服はとてもきれいです。
北京には三回行ったことがあります。
私たちは全部で十人です。
彼は猫を一匹と犬を二匹飼っています。
二足す三は五です。
もう一度言ってください。よく聞き取れませんでした。
この都市の人口は二千万人を超えています。
携帯の番号は何番ですか。
彼が数えてみると、切符が一枚足りませんでした。
テーブルの上に包丁が一本と箸が一膳置いてあります。
私は毎日三食食べます。
入り口に車が何台も止まっています。
万一雨が降ったら、行かないことにします。
庭に木が二本植えてあります。
中国の人口は十四億人です。
彼の中国語はクラスで一、二を争います。
みんなが口々に話し始めました。
こうすれば一石二鳥です。
先生はそろばんで計算するほうが電卓より速いです。
革くさい靴直しも三人寄れば諸葛亮に並ぶ。(ことわざ)
回は一を聞いて十を知ります。私は一を聞いて二を知るだけです。(子貢、『論語』V.8)


